仕残した最後の仕事をぼちぼち仕掛けてみます
十九歳で入社し四十八年間ひさすら先代の為
家族の為に汗をかいてきました
円山荘から竹取亭へ名前が変わり
今はいない女将とふたりで頑張ってきました
亡き女将が気にかけてた別亭 康貴
食事と入浴で始めましたが 今は入浴だけ
私は宿をやりたかったのですが
女将から宿屋をやるんだったら離婚すると
釘をさされていました
女将が亡くなって四年
ぼちぼち お許しがもらえると思い
私の最後の仕事として腰を上げます
康貴を背負う拓也君の頑張る姿が見られたら
亡き女将の心残りが少しでもなくなると思います
若い時のようには動けませんが
拓也君の後押しをし
一緒に働かせてもらいます
竹取亭は現社長が頑張っていますので安心です
裏方は今まで通りやらしてもらいます
亭主のひとり言 下浦やすのぶ